霜降の季節、朝6時。
霧が、まるで波のように押し寄せてくる。
その向こうに抜け出したくて、
起きたばかりの身なりで、車を走らせた。
Now playing:Spangle Call Lilli Line
「Nano (TK Kaleidoscope Remix)」
中国地方の山間部にひっそりと佇む、
津和野(つわの)という町に住み始め、
気づけばちょうど1年が過ぎていた。
「いつかこの町に住みたい」
そう思ったのは、もう2年ほど前のこと。
世界を駆け巡って辿り着いた答え、
「いつかどこかに根を張って、
自然に沿った暮らしがしたい。」
その想いを叶えてくれる場所だった。
ここでものを買うといえば、
スーパー1軒と、コンビニが1軒、
地元の商店がいくつかあるだけ。
ショッピングモールもなければ、
ドラッグストアもない。
ユニクロも、ダイソーも、マクドナルドもない。
私の家にいたっては、携帯の電波もない。
札幌で暮らしていたころとは、
雲泥の差である。
けれど、この町には
「ない」が「ある」のである。
なぞなぞのようになってしまうが、
「ない」が「ある」ところを探すのは、
日本ではなかなか難しいことなのだ。
”なければないで済んでいたものが、
なくてはならなくなるのだから、
便利とは不便なものだ。”
哲学者で作家の池田晶子さんの言葉。
私が生まれてからのたった30年そこそこで、
たくさんの便利なモノが世に出たけれど、
結局それが手元にないと生活できなくなるなら、
やはり「便利は不便」なのだ。
「ない」が「ある」この町は、
太古の昔から変らない、
美しい山と川と、四季の移り変わりと、
それに沿った暮らしの知恵が、
きわだって残っているように思います。
野菜や米づくり、森の手入れ、季節の保存食、味噌などの調味料
お掃除や礼節、八百万の神への畏れにいたるまで。
学ぶこと、得るものばかりが「ある」場所です。
一番のご褒美は、雲のない夜の星空。
天の川まで、はっきりと見渡せる。
そんなときは、旅路で見た星空を思い出す。
グルジアのカズベキか、ボリビアのウユニか、
はたまたチリのアタカマだったか、、、、
などと思い起こしながら、
あらためて
日本で天の川が見える場所に住めたことの
喜びを噛みしめる。
それで、それだけで、じゅうぶんなのだ。
この町で目にするうつくしい景色、
これからわたしが進むべき道のこと、
すこしずつ伝えていければと思います。
見守っていてくださいね。
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いつも読んでくださってありがとうございます♪
2013年6月に旅から帰国し、
現在は島根・津和野(つわの)町にて暮らしています。
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【いと、うつくし。-世界一周ブログ-】
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